父の手

父と手をつないだのは何年ぶりだろう。

私たち家族は季節がよくなると、夜、散歩に出かけた。
春には、花の香りのする中。
夏には蛍を探して。
秋にはきれいな月を眺めながら。


結婚してからその機会は減ったが、実家に帰ると大抵母が切り出す。
「散歩に行こうか」

その一言で、私たちはそそくさとつっかけをはく。


先日、次女と二人で実家に行っていた時にも、母が次女に言った。
「お散歩、行こうか」

私たちは4人で川沿いの田舎道をぶらぶらと歩く。
ほとんど車は通らない。
蛍が数匹、まだ飛んでいた。

ちょうど半月まで大きくなった月に照らされながら、次女は言った。
「ねえ、おじいちゃんとおかあさん、てをつないで」

あまりの突然のことで、私はちょっと照れくさかった。
いや、父もそうだったと思う。

が、すぐに次女の目的が分かった。
次女、母、私、父。
順番に4人で手をつないだ。
その影は月に照らされて、階段のようになっていた。

父の手は大きくて、あたたかかった。
そして、父と手をつないだ私は、急に小さな女の子になったような気がした。

小さい頃、私も父の手をつないでこんな風に歩いていたのだろうか。


父はどちらかと言うと、口下手な方だ。
でも私は父を尊敬しているし、父も私のことを気にかけてくれているのはしっかりと感じる。

ちょっと父親を疎ましく思う時期もあった。
でも、何かをする時に父の言葉を思い出す。
あまり多くは語らない父だが、生きていくうえで大切な言葉を私に投げかけてくれている。


二人ともちょっと照れくさかったが、次女のお陰で夏の思い出が一つ増えた。

いつも見てくださってありがとうございます。
励みになっています。
[PR]
by couturira | 2011-08-09 08:43 | 日々のこと | Comments(14)
Commented by hanaと五右衛門 at 2011-08-09 11:16 x
何だか、読んでいたら不思議と涙が・・・
とっても素敵なお父様なんですね♪

私の父は口数は少ないけど、人のお世話をするのが好きな人でした。
そんな父が私は大好きで、尊敬していました。
今思うと隠れ?ファザコンだったかも♪
でも、私が20歳の時に病気で亡くなりました。

だから、今お父様と手をつなげるcouturiraさんが
ちょっと羨ましいな♪
親孝行してあげてください!
Commented by couturira at 2011-08-09 16:16
hanaさん、こんにちは。

そんなことがあったんですね。
二十歳の時とは、まだ早いお別れですね・・・。

お父様との思い出はきっとhanaさんの心に残り続けるし、hanaさん自信としてもお父様があり続けるのでしょうね。

なかなか照れくさくて、親孝行らしきことはあまりしたことがないのですが、hanaさんのコメントを読んで、大事にしないとなぁと思いました。

ありがとうございます!
Commented by puk at 2011-08-09 16:20 x
むかし父が入院した時、リハビリで病院の廊下を歩いていて、見てて危なっかしいので手をつないで歩いたのを思い出しました。

手をつないで歩く習慣がなかったので、すごく照れ臭かったけど新鮮で、大きくてごつごつした手で「働いて支えてくれてたんだな」って思ったら、じんわり涙が出てしまったんです。

この頃から涙腺が弱ってたみたいです。
Commented by couturira at 2011-08-09 20:52
pukさん、こんばんは。

涙腺はどんどん緩くなってしまいますね(汗)

お父様もpukさんがじんわりしているのを見て、きっと分かっていたんでしょうね♪

素敵な思い出ですね。
Commented by リンたまパパ at 2011-08-09 23:47 x
こんばんは。はじめまして。

記事を読ませていただいて"じ~ん"ときました。
自分も歳をとったら娘とそんなふうに歩けるかな~って。
ぜひ、そういうふうになりたいものです。

Commented by おかみ at 2011-08-09 23:53 x
couturiraさんコンバンハ★
今日も、またまた、couturiraさんのブログで涙が。。。
いつも泣いてしまうので、couturiraさんのブログを読む前は、一瞬息を整えて読んでます(笑)
わたしも7年前に亡くなった父と、亡くなる一年前に手をつないだ思い出があります。
結婚前の最後の勤め先が旅行会社なこともあって、独身最後の家族旅行をプレゼントしました。
行き先は白川郷。
冬の白川郷は雪深くて、豪雪地帯をあなどっていたわたしは、よりによって、ツルツルすべるオシャレなブーツを履いていて・・・何度もツルツル滑るわたしを、両親が一緒に手をつないで歩いたのでした。。。
何だか気恥ずかしかったけど、子供の頃味わった手の感触を思い出し、とっても心が温かくなったのを今でも覚えています。
あの温もりは一生忘れません。
何気ない会話・何気ないひととき・・・かけがえのないものです。
お父さま・お母さまとの時間も、これからもどうぞ大切に★
Commented by choumom at 2011-08-10 00:41 x
いつも素敵なお話ありがとうございます。
些細なことでも、将来の素敵な思い出になるんですよね。
いつもニコニコしながら読ませていただいています。
幸せが伝染してくるみたいです。
Commented by hiromi-to at 2011-08-10 06:27
おはようございます。
父は20年近く前に亡くなりましたが手をつなぎたくなりました。
照れ屋さんな父でしたので物心ついてから手をつないだって事は無かったですねぇ。
台風が来るとなると必ず雨戸は閉めた?とか外の鉢物はしまった?などと心配して電話をくれた事を思い出しました。(^u^)
Commented by とーる at 2011-08-10 06:34 x
素敵な時間ですね
子どもさんのおかげで素晴らしい思い出ができましたね(笑)
Commented by couturira at 2011-08-10 17:30
りんたまパパさん、こんにちは。

はじめまして。
読んでいただいてありがとうございます。
コメントをいただけるというのは、ダイレクトに感想を聞くことができて嬉しいものですね♪

父親と娘というのはちょっと距離があるようで、でも実は強い絆で結ばれているという微妙な関係ですよね。

私も最後に手をつないだのはいつだったか覚えていないのですが、少なくとも20年は経っていると思います。

りんたまパパさんも、成長した娘さんと手をつないでゆっくり歩く時が来るといいですね♪
Commented by couturira at 2011-08-10 17:37
おかみさん、こんにちは。

呼吸を整えて読んでいただいて、ありがとうございます(笑)

結婚前の素敵な出来事ですね♪
嫁ぐ娘と、それを支える両親。
なんだかそれまでの成長を支えたご両親とおかみさんの関係を物語るような出来事ですね。

きっと神様がプレゼントしてくれたのでしょうね。

おかみさんのおっしゃるとおり、何気ない生活の一コマが、かけがえのないものだと思えるというのは本当に幸せなことですね。

いつもありがとうございます♪
Commented by couturira at 2011-08-10 17:45
choumomさん、こんにちは。

はじめまして。
読んでくださってありがとうございます!

何気ない出来事でも、思い返すとキラキラとした時間だったりしますよね。
親子の関係の中では特に、どんどん成長していったり、老いていったりする中で、貴重な一場面だと思います。

そんな出来事を、きちんと見据えて生きたいものですね。

これからも、よろしくお願いします。
Commented by couturira at 2011-08-10 17:54
hiromi-toさん、こんにちは。

とってもやさしいお父様だったのですね♪
離れていても、常に気にかけてくれる人がいるというのは、本当に嬉しいものですよね。

手をつなぐという行為は、幼い頃は親や友達と、日常でよくあることなのですが、大きくなるにしたがってなくなってきますよね。
その分、大人になるとなぜか特別なことのような気がしますね。

我が家の子供たちはまだ私の手をめぐってケンカになるほどですが、そのうち恥ずかしくなっちゃうんでしょうね。

今の子供たちの手の感触を、忘れないでいたいですね。
Commented by couturira at 2011-08-10 17:58
とーるさん、こんにちは。

いつもちょっとドキドキしながらブログを読ませていただいています(笑)

娘は私や父が照れていることなんて、思いもよらないでしょうね。
でも無邪気な娘にプレゼントされた、素敵な思い出になりました♪
<< はまりもの れ・と・ろ >>